WellBe株式会社
日本社名:上海ウェルビーメディカルコンサルティング有限公司
中国社名:上海威比爾医療諮詢有限公司
http://www.wellbemedic.com/index.html
WellBe株式会社 総経理 陳 根栄氏
「三位一体――狭く深く、より質の高い医療サービスを」
<今回の企業> 国際経済のグローバル化にともない、前年(平成20年)の日本人出国者数は1,599万人に昇り、多くの人々が世界を行き来するようになった現代。しかし、一見魅力的な海外旅行・生活も裏を返せば「一寸先は闇――危険と不安」である。怪我や病気、環境変化によるストレスといった健康面をはじめ、海外ならではの治安面、また衛生面においての心配など不安は尽きない。しかし、海外滞在中において最も不安を感じるのは「言語の違い」ではないだろうか?それゆえ、24時間体制で日本語によるサポートを迅速に提供してくれる「医療アシスタンス会社」は海外在留邦人にとって大変心強い。
中国進出日系会員企業5,000社、会員数40,000人超を誇る「WellBe ウェルビー株式会社」(以下ウェルビー)は『三位一体』体制により中国国内邦人向け医療アシスタントサービスを提供し続ける。今回は中国医療現場の現状から見える課題と、そこから導き出される今後のウェルビーグループの発展について、「上海ウェルビーメディカルコンサルティング有限公司」の総経理、陳 根栄氏に伺った。
―アシスタンス会社の業務についてお聞かせ下さい。
アシスタンス会社の原形は、ヨーロッパにおける自動車産業と密接不可分な関係にあります。ヨーロッパでは、各国で生産・販売された自動車が、日常的に国境を超え大陸間を移動しています。他国で発生した自動車のトラブルに対処するために生まれたのがアシスタンス会社です。例えば、旅先で車が故障した場合、その車を修理できる工場の場所、連絡先、言葉の問題、部品手配の為の臨時宿泊など、さまざまな問題が生じてきます。
これらの問題に対し、24時間事故・故障の連絡受け付け、最寄の修理可能な修理工場の紹介、レッカー車の手配、代車の手配、ホテルの予約、陸送の手配、保険会社への連絡などをお客様にサービスとして提供する会社として、アシスタンス会社が誕生しました。
同様の問題が海外旅行においても発生します。旅行者が急病になったり、大怪我をしたりした場合、病院や医師の手配、通訳の手配、自国への緊急移送の為のチャーター機の手配などを保険会社と連携を取りながら行うのが、アシスタンス会社の業務です。
日本の保険会社で販売している海外旅行保険は、その補償内容、保険料共、ほぼ横並びで、それ自体では競争力に欠けるものでした。そこで、各保険会社は、アシスタンス会社と契約し、自社の保険のアフターサービスとして海外旅行保険に付帯することで、他社との差別化を図ってきました。保険会社とアシスタンス会社が一体だと思っている人もいるようですが、実は全く別個のものです。アシスタンス会社は、その業務の必要上、24時間のコールセンターを設置しており、海外旅行者を万全な体制でサポートする為に、医療機関、航空会社、果ては葬儀屋まで、幅広いネットワークを有しています。
−ウェルビー中国進出のきっかけについてお聞かせ下さい。
94年、ウェルビー株式会社の社長(椎川)が裸一貫で上海に乗り込みました。ちょうど日本の製造業界が中国への進出を開始した時期と重なっており、日本人の駐在員も少しずつ増え始めていました。特に確固としたビジョンも持たずに上海入りした社長は、これらの駐在員に、「今何に困っているか」を聞いて回ったのですが、そこで皆が文字通り異口同音に訴えたのが、「医療」についての問題でした。
今から15年も前のことなので、想像がつきにくいかと思いますが、当時の中国の病院は、すべて国営で、規模としては、日本の大学病院を想像すればよいでしょう。但し、受付、診察、検査、薬代の支払いそれぞれ列に並ぶ必要があります。日本人は、病院に関する情報もなく、病院に行っても、どこからどう並べばよいのかもわからず、その上言葉も通じない状態で、途方にくれていました。中国の医療レベルは決して低くはないのですが、レベルにせよ規模にせよ、ピンからキリまで揃っているので、自分で病院や医師を選ぶ必要があります。そういったノウハウがない為、日本人駐在員は、いわゆる「はずれ」の病院、医師にかかり、「中国の病院は、レベルが低い、汚い、使いにくい」と思い込んでいるふしもありました。
そこで、弊社社長が「中国で生活する日本人の為に、医療周辺のサポートを行う会社を創ろう」と思い立ち、できたのがウェルビーです。24時間アラームセンターでの症状に合った病院紹介、予約、病院での医療通訳などを基本サービスとして、さまざまなサービスを展開してきました。顧客のニーズに沿って、サービスを構築していくのは、15年前も今も変わらぬウェルビーの姿です。
−ウェルビー入社までのご経歴ときっかけをお聞かせ下さい。
1986年に上海師範大学英文科を卒業、その後3年間は、出身大学や附属の高校で、英語教師として働いていました。当時上海は、出国ブームで、自分も英語を生かして、アメリカに行きたいと思っていましたが、ビザを申請したところ面接で落とされてしまいました。91年に、オーストリアの鉄鋼メーカーVoestalpine(フェストアルピネ)が上海第一人民病院の建設プロジェクトに関し、資金貸し出しを行う際、現地の通訳としての仕事に転職しました。
1年程働いた後、日本に留学していた妻の弟より、日本に来てみないかという誘いがありました。日本という国には全く興味も予備知識もなかったのですが、若さも手伝い、92年に日本に渡りました。日本では、最初の2年間は日本語学校、その後拓殖大学の経済学科で研究生として在籍していました。いろいろなアルバイトも経験し、そろそろ中国へ帰ろうかと思っていた矢先、アルバイト先で知り合った日本人から、その人のお兄さんであるウェルビーの椎川社長を紹介されました。聞くと、94年に在中国日本人を対象とした医療サービスの提供を目指して上海に進出したものの、なかなか事業が軌道に乗らずに、困っているとのこと。もともと健康ビジネスには関心を持っていたので、椎川社長の語る医療アシスタンスという新しい分野に将来性があると感じ、1997年、上海へ戻って、上海ウェルビーの立ち上げに関わることになりました。
日本への留学も、椎川社長との出会いも、偶然が重なったもので、自分から求めたものではなかったのですが、これがその後の人生にとって、大きな転換点となろうとは当時は想像だにしませんでした。
−御社の医療サービスについてお聞かせ下さい。
ウェルビーは、日本人が、より安心して中国で生活できるように、会員制で医療サービスを提供しています。料金体系は、入会金が1人当たり10,500円/年(840人民元)、単身赴任者の年会費が1人25,200円/年(2,020人民元)、家族帯同者は、1世帯年会費37,800円/年(3,020人民元)となっています。これだけ見ると、1人入会するだけで、35,000円強を払うので、高く感じるかもしれません。しかし、ウェルビーのサービスは365日稼動していますから、日数で割れば、1日100円にも満たない額です。100円で安心が買えると思えば、安いものです。日本語で「サービス」と言うと、「無料」のイメージが付きまといますが、実際のサービスは、中国語の「服務」の方がより近い意味を表していると思います。サービスにお金を出すという考え方は、まだ日本人には浸透しているとはいえません。逆に言うと、顧客がお金を出してでも欲しがるサービスを構築していく必要があります。
入会金、会費の金額は、この会員制医療サービスを開始した時から変更していません。数人でやっていた時から現在の社員数300名まで大きくなり、会員様も増えたとはいえ、諸経費の高騰は著しいものがあります。しかし、会費の値上げは、今後も考えていません。顧客の立場に立てば、サービスの内容は同じで、価格だけを上げるようなことは、できません。利益を削ってでも、会費据え置きに努めるつもりです。
―他医療アシスタント会社との差別化についてお聞かせ下さい。
弊社が他の医療アシスタンス会社と異なる点の1つは、まさにこの「会員制」というところにあります。他の医療アシスタンス会社の多くは、保険会社の顧客は自動的に自社の顧客となるので、保険会社との結びつきさえしっかりしておけば安心です。弊社の場合は、まずは「会員」ありきで、保険は付帯価値と考えています。会員を自分達で獲得しなければ、収入に結びつきません。
もう1つの異なる点は、他社が、全世界にネットワークを有しているのに対し、弊社は中国の、しかも日本人のみを対象としていることです。「広く、浅く」か「狭く、深く」か、どちらが良いとは一概には言えません。他分野への事業拡大は、できないことはないですが、金儲けだけが目当てではなく、顧客により良いサービスを提供することを第一の目標にしているので、今後も医療に関するサービスを核として、この業界で「狭く、深く」やっていきたいと思っています。
―では、その会員制サービスの内容をお聞かせ下さい。
会員制のサービスとして、具体的に行っていることは、(1)24時間アラームセンターによる病院紹介、予約手配、(2)病院での医療通訳、(3)海外旅行保険加入者の場合は、病院治療費の代行請求です。その他に、重症患者の日本への緊急移送、不幸にも亡くなった方のご遺体での搬送なども行います。
ただ、最初は「何かあったら、対応します」と言って、日本人の方々に入会を勧めていましたが、当然ですが平穏無事に一年間を過ごした会員様から、「何もなければ、サービスを買った意味がない」という声が出るようになりました。同時に、弊社でも、毎年平均で80件ほど扱っている重大事故ケースの対応、分析をしていく内に、事故の発生前と発生後のお手伝いもするべきだと思うようになりました。そこで、出てきたのが、「三位一体」という概念です。
<次号へ続く>
WellBe株式会社
日本社名:上海ウェルビーメディカルコンサルティング有限公司
中国社名:上海威比爾医療諮詢有限公司
http://www.wellbemedic.com/index.html
WellBe株式会社 総経理 陳 根栄氏
住所:〒200235 上海市徐匯区中山西路1800号 兆豊環球大厦25F-1
TEL:021-6440-0055
FAX:021-6440-0911
インタビュアー:鳥谷拓真
執筆:山本景子様(ウェルビー緊急サービス部)、浜田あゆみ
同行:華迪斐、佐藤友梨
校正担当:中原周一、盛哲男
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